
Jonathan T. Hine Jr. PhD、CRA Scriptor Services LLC、ヴァージニア州シャーロッツヴィル
コンピュータ支援翻訳(CAT)ツールは、翻訳作業を一段上のレベルに引き上げます。
CATツールのメリットをいくつかご紹介します。
ローカリゼーションに必要なのは、用語とスタイルを厳密に統一し、大量データを高速で処理できる能力です。 これを実現するのが、SDL Tradosに代表されるCATツールです。 処理の過程で、翻訳者が翻訳メモリ(TM)をもらい受け、翻訳しながらTMを更新し、さらに元の場所に送信するというプロセスはきわめて重要です。
従来どおりの環境でも、CATツールを使用することで生産性が向上します。 ツールを使用して適度に蓄積された翻訳メモリを基に一括翻訳を行うことにより、生成量が2倍にも増えます。 注意:この比率は、TM内のデータと新しいデータにどの程度の類似性があるかによって異なります。 私個人の作業量データでは、50%以上も効率がアップしています。
一括翻訳の成果が望めない場合(まったく関連性のない新しいトピックの場合など)でも、CATツールによって作業が快適になることに私は気づきました。 画面に並ぶセグメントに、入力が必要な箇所のみ入力すればよいのです。 自分の訳文が自動的に適用されるため、文書内で再び同じセグメントや用語が現れたときに、再入力やカットアンドペーストを行う必要がありません。 もちろん、翻訳時には翻訳メモリを作成するので、次回似たような文書を訳す場合に、一括翻訳での一致率が高くなります。
文書内またはプロジェクト全体で統一された用語を使用することは、技術翻訳の分野では特に重要です。 法律および金融関連の文書や、科学技術文書などでも同様です。 翻訳とは異なる文化にまたがる作業であり、用語が統一されていなかったり「表現の変化」があると、読み手は理解しにくくなります。 SDL TradosのようなCATツールを採用すれば、プロジェクトの標準用語を定め、各翻訳者が苦労せずに一貫した用語を使用することができます。
レビューを最も効率的に行う方法は、ページを紙に印刷し、2本の定規を使用して、原文テキストと訳文テキストを比較する方法です。 しかし、一部の技術文書はうまく印刷できなかったり、Webページなどのように元々画面上で読まれることを意図して作成されている場合もあります。 CATツールを使用してセグメントを整列させると、画面上でより効率的かつ容易にレビュー作業を進められます。 私は今でも可能であれば紙と定規を使用しますが、CATツールで作成した翻訳のほうが印刷エラーがはるかに少ないため、紙ベースの最終チェックも早く終わることがわかりました。
翻訳者は、新規の翻訳、文書全体の改訂、用語集やTMの更新など、作業内容の違いに応じて適正な料金を請求できるように、対象文書の解析方法を知っていると便利です。主要なCATツールでは、ワード数、セグメント数、ユニット数のカウント、テキスト解析、新規データと一括翻訳実行済みデータの比較などを行います。SDL Tradosのように一般的なCATツールを共有すると、その文書でどれだけが新規の翻訳で、どれだけ改訂が必要かといったことを、フリーランス翻訳者とプロジェクトマネージャがあらかじめ把握し、合意した上でプロジェクトを進めることができます。
Jonathan Hine氏は専業のフリーランス翻訳者(イタリア語/フランス語から英語)です。 また、技術翻訳の講師も務め、企業のローカライズに携わる社員に向けたワークショップも開催しています。